3月9日、3年生から5年生の子供たちがツーク市内にある美術館「クンストハウス・ツーク(Kunsthaus Zug)」へ見学に行きました。

クンストハウス・ツークでは1月29日から7月24日まで「ALLES UND NICHTS – Japan und die moderne Kunst bis heute」という展示会が開催されています。
19世紀後半、西洋で「ジャポニズム」と呼ばれる現象が沸き起こり、西洋美術は日本美術から多大な影響と刺激を受けました。
クンストハウス・ツ-クでは日本の歴史的作品と共に、そこから影響を受けて生まれた西洋作品を展示しています。
今回は「ぜひ日本語学校の児童に展示を見に来てもらい、日本に関するプロジェクトに参加して欲しい」とご招待をいただき、ア-トメディエ-ション担当のスイス人と日本人の学芸員さんに、ドイツ語と日本語でガイドしてもらいながら、一緒に館内を巡りました。

まずは、いくつかの作品が展示されている部屋に移動し、地球儀を囲んで座りながら、西洋において日本美術が鑑賞されるようになった歴史を教えてもらいました。
その後、「部屋に飾られている絵画の中で、日本人が描いた作品はどれか?」というクイズに挑戦しました。

ひとりひとり自分で絵を選び、作品について感じたことや見付けたことを話し合いながら説明を聞きました。
特に、浮世絵の作り方に子どもたちは興味津々でした。
世界的にも著名な浮世絵師である葛飾北斎と、彼の代表作である『富嶽三十六景』についても日本語で丁寧に説明して下さいました。
「富嶽三十六景の絵が版画で何枚も摺られている事を初めて知りました!一番面白かった。」と話す子どももいました。

他にも、日本の伝統的な衣服である着物や着物に影響を受けて作られた洋服も数点展示されていました。
日本人の学芸員さんがスイスに持ち帰ったおばあ様の大切な着物を見せて下さいました。
「腰に巻いて結ぶ細長い布は何?着物に合わせて履くのは何?」などの質問に子供たちが答えながら、着物について学びました。

最後に、「版画を摺るためのオリジナル版を自作する」というテーマで、5cm大の丸い木に窓用隙間テ-プで自分の名前のアルファベットを貼り付けて手作りのハンコを作成しました。
楽しみながら、自分だけのオリジナルハンコが作れてとても嬉しそうでした。

自宅に帰ってから、「全ての作品を観る事が出来なかったから、見ていない作品を観に行きたい!」という児童もいたそうです。
日本美術やアートに関心や興味を持つきっかけになる貴重な時間となりました。